「2024年対策」-物流編

 物流業界においての2024年問題は、端的に言うと、年間の時間外労働の上限が年960時間(特別条項付き36協定を締結する場合)となる、ということです。

 ただし、この「960時間」という数字だけが問題なのでしょうか。

 実は、そういうわけではありません。

1.「働き方改革」と「改善基準告示」の見直し

 「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が平成30年7月に公布され、翌年(平成31年)の4月1日から施行されました。

 その際に、国会(衆議院)では自動車運転業務については、過労死等の防止の観点から

特に、自動車運転業務については、長時間労働の実態があることに留意し、改正法施行後5年後の特例適用までの間、過労死の発生を防止する観点から改善基準告示の見直しを行うなど必要な施策の検討を進めること。

衆議院厚生労働委員会付帯決議(H30.5.25)

という付帯決議(H30.5.25)が採られました。

 その後、この改善基準告示の内容について見直しの検討がなされ、令和4年9月8日に開催された厚生労働省の審議会の会合「第10回トラック作業部会」にておおよその方向性が決まり、同年12月23日に大臣告示として公布されました。

 「物流業界における2024年問題」というのは「年960時間」という上限規制ということだけでなく、実はこの「改善基準告示」の見直しによる影響も指します。

2.「改善基準告示」とは

 物流業界においてコンプライアンスを図る場合、運転ドライバーは「労働基準法」を遵守するだけでなく、「改善基準告示」という大臣告示に定められている基準も守らなければなりません。その基準は、古くは昭和42年2月9日の通達に基準が示された事に始まり、平成元年2月9日に改善基準告示が制定されましたが、現在は平成9年改正(4月1日発行)の基準が適用されています。

現行の改善基準告示
現行平成9年改正(労働省告示第4号)
拘束時間平成9年4月1日
休息期間・1カ月293時間
(年3,516時間の範囲内で6カ月320時間まで延長可能)
・1日13時間
(最大16時間まで延長可能。ただし15時間超は週に2回迄)
休息期間勤務終了後、連続した8時間以上
運転時間・2日平均1日9時間
・2週間平均1週間44時間
連続運転時間・4時間
・運転の中断 合計30分以上(1回連続10分以上)
時間外労働一定期間は2週間及び1カ月以上3か月以内の期間を協定
休日労働2週間に1回を超えない、かつ、1年・1カ月・1日の拘束時間の範囲内
特例分割休息、2人乗務、隔日勤務及びフェリー乗船における特例は労働基準局長通達の定めによる
第10回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会
トラック作業部会『参考資料2改善基準の見直しについて(参考資料)』p33より転記

この改善基準告示に示される数字が見直されるわけですが、見直される予定の数字を見る前に、先に現在の改善基準告示の数字と労働基準法との関係を見たいと思います。というのもこの確認作業を行っておかないと2024年問題の本質が見えないためです。

3.労働基準法と「改善基準告示」の関係

 労働基準法に示される1日の法定労働時間8時間(休憩1時間)とした場合、改善基準告示に当てはめると、1日の拘束時間が9時間となります。

 1日8時間・週40時間から1年間の労働日数を365日―105日とすると、年260日になります。

 つまり、労働日数を拘束時間に置き換えると、年間の総拘束時間は9時間×260日=年の拘束時間2,340時間となります。

さらに、月に割り戻すと年2,340時間÷12カ月=月の拘束時間195時間となります。

1日8時間労働+1時間休憩(9時間拘束)かつ週40時間労働(5日勤務)の場合(改善基準告示に示される基準を併記)
法定内の拘束時間改善基準告示
1日の拘束時間9時間原則13時間
特例16時間
月の拘束時間195時間原則293時間
特例320時間
年の拘束時間2,340時間3,516時間

 つまり現行では「自動車の運転の業務」は上限規制の適用外ですが、実質は改善基準告示とこの法定労働時間から試算した拘束時間の差が、時間外労働の上限と捉えることもできます。

 では、次にその改善基準告示とこの法定労働時間から試算した拘束時間の差を見ていきます。

法定内の拘束時間・改善基準告示・時間外労働が可能な時間数
法定内の拘束時間改善基準告示時間外労働が可能な時間数
1日の拘束時間9時間原則13時間
特例16時間
原則4時間
特例7時間
月の拘束時間195時間原則293時間
特例320時間
原則98時間
特例125時間
(含・休日労働)
年の拘束時間2,340時間3,516時間1,176時間
(含・休日労働)
第10回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会
トラック作業部会『参考資料2改善基準の見直しについて(参考資料)』p16を参考に作成

 2024年問題の一つである年間の時間外労働の上限年960時間がどこに当てはまるかというと、現行の時間外同労が可能な時間1,176時間/年が960時間/年に置き換わります。すなわち216時間(月平均18時間)短くなると試算されます。

 もちろん、休憩時間や所定労働時間の長短、歴の巡りあわせなどにより上記の数字は異なってきますが、厚生労働省が示す仮定のモデルとして認識して頂ければと思います。

4.労働基準法第36条の指針の適用

 前述の通り、自動車運転者は時間外労働の上限規制から除かれていましたが、それも令和6年4月1日からは年960時間の上限規制が適用されます。

 改正・改善基準告示の内容を見る前に、適用される労働基準法について、先に確認します。

 年960時間の上限というキーワードが独り歩きしていますが、原則は、時間外労働の上限については月45時間・年360時間です。その上で臨時的な特別の事情がある場合につき時間外労働の上限を年960時間とする、というものです。

  そのため労働基準法第36条の指針も適用されるようになります。

労働基準法第36条の指針から一部抜粋
指針第2条時間外労働・休日労働は必要最小限にとどめること
指針第3条使用者は、36協定の範囲内であっても労働者に対する安全配慮義務を負います。
また、労働時間が長くなるほど過労死との関連性が強まることに留意する必要があること
指針第5条臨時的な特別の事情がなければ、限度時間(月45時間・年360時間)を超えることはできません。
限度時間を超えて労働させる必要がある場合は、できる限り具体的に定めなければなりません。
この場合にも、時間外労働は、限度時間にできる限り近づけるように努めること
指針第7条休日労働の日数及び時間数をできる限り少なくするように努めること

5.改正・改善基準告示の内容

 では、次に改正後の改善基準告示の内容を見ていきます。

(1)月・年の拘束時間

 今回の改正では、臨時的な特別の事情がある場合でも時間外労働の上限が年960時間とされていること等を踏まえて検討がされた結果、拘束時間は、年間の総拘束時間が3,300時間、かつ、1か月の拘束時間が284時間を超えないもの、となりました。  また例外として、労使協定により、年間6か月までは、年間の総拘束時間が3,400時間を超えない範囲内において、11か月の拘束時間を310時間まで延長することができるとしています。ただし、この場合において、1か月の拘束時間が284時間を超える月が3か月を超えて連続しないものとして、1か月の時間外・休日労働時間数が100時間未満となるよう努めるものとします。

月・年の拘束時間
原則例外
1か月の拘束時間284時間310時間
・労使協定に より、年間 6か月まで
・284時間を超える月が3か月を超えて連続 しない
・1か月の時間外・休日労働時間数が100時間 未満となるよう努める
1年の拘束時間3,300時間3,400時間

 ちなみに、この3,300時間の考え方は以下に基づくものとされています。

 1年間の法定労働時間(週40時間×52週間)

  と

 1年間の休憩時間(1時間×週5日×52週間)

  と

 上限960時間

 を合計したもの ですが、事業場ごとの所定労働時間、休憩時間及び月の日数等の違いを考慮したものではないため、この考え方はあくまで「目安」としています。

(2)1日の拘束時間

1日(始業時刻から起算して24時間)についての拘束時間は、13時間を超えないものとし、この拘束時間を延長する場合であっても、1日についての拘束時間の限度は15時間(「最大拘束時間」という)とします。

これについても例外があり、

ⅰ自動車運転者の1週間における運行がすべて長距離貨物運送
(長距離貨物運送とは一の運行が走行距離450㎞以上)
ⅱ一の運行(450km以上)における休息期間が住所地以外の場所におけるもの
(「宿泊を伴う長距離貨物運送の場合」といいます)

ⅰかつⅱである場合、1週間について2回に限り最大拘束時間を16時間とすることができるとされています。また、1日の拘束時間を延長する場合(宿泊を伴う長距離貨物運送の場合を含む。)において「1日の拘束時間が14時間を超える回数をできるだけ少なくするよう努める」ものとされています。

原則例外
1日の拘束時間13時間を超えないものとし、延長する場合でも最大拘束時間は15時間。宿泊を伴う長距離貨物運送の場合は、1週間につき2回に限り最大拘束時間を16時間。
・最大拘束時間まで延長する場合であっても、1日についての拘束時間が14時間を超える回数をできるだけ少なくするよう努めること
 (目安:1週間について2回以内)
・宿泊を伴う長距離貨物運送について
 自動車運転者の1週間における運行がすべて長距離貨物運送(一の運行〈自動車運転者が所属する事業場を出発してから当該事業場に帰着するまでをいう〉の走行距離が450㎞以上の貨物運送をいう)であり、かつ、一の運行における休息期間が住所地以外の場所におけるものである場合のこと。

(3)1日の休息期間

 休息期間については、勤務終了後、継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとなりました。 ただし、先述のように宿泊を伴う長距離貨物運送の場合、当該1週間について2回に限り、「継続8時間以上」とすることができることとし、この場合において、一の運行終了後、「継続12時間以上」の休息期間を与えるものとなりました。

原則例外
1日の休息期間継続11時間以上(努力)を基本として、継続9時間を下回らないこと宿泊を伴う長距離貨物運送の場合は、当該1週間について2回に限り「継続8時間以上」とする。
ただし一の運行終了後、「継続12時間以上」の休息期間。

(4)運転時間と連続運転時間

運転時間について2日を平均し1日当たり「9時間」、2週間を平均し1週間当たり「44時間」を超えないものとすることは旧告示と変わりません。

連続運転時間については変更がありました。まずはその考え方です。連続運転時間とは1回が「おおむね連続10分以上」で、かつ、合計が「30分以上」の運転の中断をすることなく連続して運転する時間、と示されました。

ここに示される「おおむね連続10分以上」について、

通達では

デジタル式運行記録計により細かな時間管理が可能になる中で、運転の中断の時間が『10分』にわずかに満たないことをもって直ちに改善基準告示違反とするのはトラック運転者の勤務実態を踏まえたものではないという観点から見直したものである。『おおむね連続10分以上』とは、運転の中断は原則10分以上とする趣旨であり、例えば10分未満の運転の中断が3回以上連続する等の場合は、『おおむね連続10分以上』に該当しないものであること。

基発1223第3号 令和4年12月23日

とされています。

また「運転の中断」についても、旧告示では明示されていませんでしたが、今回の改正において通達では

トラック運転者については、運転の中断時に荷積み・荷卸し等の作業に従事することにより、十分な休憩が確保されない実態があるといったことを踏まえ、運転の中断については、原則として休憩を与えるものとしたこと。

基発1223第3号 令和4年12月23日

 とあり、単に運転が為されていないというだけでは「中断」とは言わず、原則として休憩を与えることが必要との解釈が示されました。

 連続運転時間の時間数については、「4時間以内」というのは変わりませんが、

高速道路等のサービスエリア又はパーキングエリア等に駐車又は停車できないことにより、やむを得ず連続運転時間が「4時間」を超える場合には、「4時間30分」まで延長することができるものとする。

基発1223第3号 令和4年12月23日

 とされました。

  ただし、これはあくまでも例外的な取り扱いなので、例外的取扱いを前提として、連続運転時間が4時間となるような運行計画を作成することは認められないので注意してください。

原則例外
運転時間2日を平均し1日当たり「9時間」
2週間を平均し1週間当たり「44時間」を超えないもの
なし
連続運転時間連続運転時間(1回が概ね連続10分以上で、かつ、合計が30分以上の運転の中断をすることなく連続して運転する時間をいう)は、4時間を超えないものとする。当該運転の中断は、原則休憩とする。ただし、サービスエリア、パーキングエリア等に駐車又は停車できないことにより、やむを得ず連続運転時間が4時間を超える場合には、4時間30分まで延長することができるものとする。

(5)「予期し得ない事象への対応時間」の取扱い

旧告示では示されていない、新たな内容が新設されました。それが「予期し得ない事象への対応時間」です。

 具体的には、事故、故障、災害等、通常予期し得ない事象に遭遇し、一定の遅延が生じた場合には、客観的な記録が認められる場合に限り、1日の拘束時間、運転時間(2日平均)、連続運転時間の規制の適用に当たっては、その対応に要した時間を除くことができ、この場合、勤務終了後、通常どおりの休息期間(継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らない)を与えることとしたものです。  ここで注意しなければならないのは、あくまでも「1日の拘束時間、運転時間(2日平均)、連続運転時間」の規定から除くことができるだけで、1年や1か月の拘束時間からは除くことはできないということです。また、予期し得ない事象への対応時間は、休憩に該当しない限り、労働時間として取り扱わなければなりませんのでご注意ください。

「予期し得ない事象」とは?

 次の①②の両方の要件を満たす時間をいいます。

①通常予期し得ない事象として局長が定めるものにより生じた運行の遅延に対応するための時間であること。

ⅰ「局長が定める」事象とは、次のいずれかの事象をいうこと。
a運転中に乗務している車両が予期せず故障したこと。
b運転中に予期せず乗船予定のフェリーが欠航したこと。
c運転中に災害や事故の発生に伴い、道路が封鎖されたこと又は道路が渋滞したこと。
d異常気象(警報発表時)に遭遇し、運転中に正常な運行が困難となったこと。
ⅱ「通常予期し得ない」ものである必要があり、例えば、平常時の交通状況等から事前に発生を予測することが可能な道路渋滞等は該当しません。

②客観的な記録により確認できる時間であること。

 次のaの記録に加え、bの記録により、当該事象が発生した日時等を客観的に確認できる必要があります。aの記録のみでは「客観的な記録により確認できる時間」とは認められないのでご注意ください。

a運転日報上の記録
・対応を行った場所
・予期し得ない事象に係る具体的事由
・当該事象への対応を開始し、及び終了した時刻や所要時間数
b予期し得ない事象の発生を特定できる客観的な資料
 遭遇した事象に応じ、例えば次のような資料が考えらます。
(a)修理会社等が発行する故障車両の修理明細書等
(b)フェリー運航会社等のホームページに掲載されたフェリー欠航情報の写し
(c)公益財団法人日本道路交通情報センター等のホームページに掲載された道路交通情報の写し(渋滞の日時・原因を特定できるもの)
(d)気象庁のホームページ等に掲載された異常気象等に関する気象情報等の写し
(新設)予期し得ない事象への対応時間
事故、故障、災害等、通常予期し得ない事象に遭遇し、一定の遅延が生じた場合には、客観的な記録が認められる場合に限り、1日の拘束時間、運転時間(2日平均)、連続運転時間の規制の適用に当たっては、その対応に要した時間を除くことができることとする。
勤務終了後は、通常どおりの休息期間を与えるものとする。

(6)分割休息

あくまでも休息期間については、継続11時間以上与えることを基本として、継続9時間を下回らないものですが、「継続9時間以上」(宿泊を伴う長距離貨物運送の場合は継続8時間以上)の休息期間を与えることが困難な場合

ⅰ 分割された休息期間は、1回当たり「継続3時間以上」とし、2分割又は3分割とすること。
ⅱ 1日において、2分割の場合は「合計10時間以上」、3分割の場合は「合計12時間以上」の休息期間を与えなければならないこと。
ⅲ 休息期間を3分割する日が連続しないよう努めること。

という要件を満たすものに限り、当分の間、一定期間(1か月程度を限度)における全勤務回数の2分の1を限度に、休息期間を拘束時間の途中及び拘束時間の経過直後に分割して与えることができると改められました。

原則例外
休息期間継続11時間以上与えることを基本として、継続9時間を下回らないもの分割1回当たり継続3時間以上として、
2分割は合計10時間以上
3分割は合計12時間以上
分割休息において、3分割する日が連続しないように努めること、全勤務回数の2分の1を限度にすること

(7)その他の規定

 「2人乗務」については、原則は旧告示と変わりませんが例外が追加されました。しかし、馬匹輸送(競走馬輸送)を想定していることと、現在の貨物輸送の車両内設備では基準を満たし得ないと思われるのでここでは省きます。

 他、隔日勤務特例やフェリー特例については旧告示から改正されませんので、現行通りとなっています。

6.改善基準告示の改正と2024年問題

 新たな改善基準の内容を見ると一口に「2024年問題」といってもその会社が主とする配送の形態によって問題点が変わってきます。

 隔日以上の長距離輸送の場合は分割休息の運用の仕方が検討されるでしょうし、地場配送でも1日の拘束時間が長時間化している路線では拘束時間と休息期間が課題になるでしょう。

 しかし、どのような配送の形態であろうと課題になるのは、月と年の拘束時間ではないでしょうか?

冒頭でも述べた通り、年間の拘束時間の原則は3,300時間です。

これは、

1年間の法定労働時間(週40時間×52週間)

 と

1年間の休憩時間(1時間×週5日×52週間)

 と

上限960時間

を合計したもの

です。

これは、言い換えると

法定労働時間8時間+休憩1時間=1日の拘束時間9時間

週5日×年52週=1年間の労働日数260日

拘束時間9時間×労働日数260日=年間2,340時間拘束

年間2,340時間拘束+上限規制の960時間=原則3,300時間

となります。

あくまでもドライバーを想定しての話ですが

1日に12時間拘束しても労働時間は10時間であった、ということもあるでしょう。

労働時間≠拘束時間とはいえ、

労働時間≦拘束時間

という関係があるでしょう。

そこからは、 労働時間≦原則3,300時間(例外3,400時間)

という関係が見えてきます。

ここからは私の私見ですが、2024年問題の根底は

労働時間≦原則3,300時間(例外3,400時間)

ではないかと思っています。

7.2024年問題のまとめ

 物流業界、特に運送業は、売上のほとんどを労働力に頼っている(労働集約型産業)と言われています。

言い換えれば、労働者の労働時間の長短が売上と比例するということです。

(1)売上(利益)の減少

仮に、あるドライバーの年間売上を100とした場合、

現在の改善基準告示の上限3,516時間/年を拘束していたとします。

この拘束時間が3,300時間/年になったら、

3,300÷3,516=93.85665・・・

なので、年間売上が約93.9と計算されます。

 実際には労働時間と売上の関係はこのような一元的な構図ではありませんが、拘束時間の短縮がもたらす影響を知る上では参考になるのではないでしょうか。

 さらに、本年(令和5年)4月1日からは月60時間超の時間外割増の賃金率が中小企業も50%以上になるので、場合によっては売上に対する人件費率も上昇するかもしれません。

 

(2)人材の流動化

ドライバーの側からの視点です。

 もし給与が売上や走行距離などに応じた歩合給の場合だと、売上の減少(走行距離の減少)がそのまま給与の減少につながります(前述の月60時間超の時間外労働が発生した場合はその限りではありませんが)。

 運送業のドライバーは、1社で長く勤められる方も多くいますが、給与額のよい会社へと次から次へと渡り歩かれる方も少なくありません。もし、2024年問題により給与額の減少が生じた場合、労働者の流通も懸念されます。逆に、給与額の維持もしくは上昇により労働者の確保もあるでしょう。

(3)求められる対策

 改正・改善基準告示の範囲内に収まる労務管理へチェンジです。

 一つの目安として拘束時間3,300(3,400)時間/年以上、3,516時間/年以内で運行しているのであれば、3,300(3,400)時間/年に収まる運行へのチェンジなどです。

<やるべきこと> 業務の効率化

  • 長時間化しているコースの見直し
  • 特定の人に偏っている業務の見直し
  • 付帯業務の見直し
  • 荷主企業(発注元企業)への協力依頼
  • etc・・・

 上記の<やるべきこと>は一例です、企業ごとに課題もさまざまだと思います。2024年4月まで残す時間も多くはありませんので、一日でも早く対策に取り掛かることが肝要でしょう。

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